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2026.03.16
令和7年度学生企画展 全国給食めぐり―ご当地給食マップ参加結果公開!
今年度の学生企画展で,参加型展示として開催した「全国給食めぐり」のアンケート結果を実習生がまとめました。以下に公開します。
全国給食めぐり ― ご当地給食マップ参加結果公開
本学博物館実習学生企画展の参加型展示「全国給食めぐり」では,来館者の皆さんに“思い出の給食”を書き込んでもらい,地域ごとの食文化を集めました。
その中から本ページでは,全国各地の「ご当地給食」をピックアップして公開します。
学校給食は単なる昼食ではなく,地域の産物・郷土料理・歴史・産業を反映した文化資料でもあります。同じ給食でも,土地が変われば食材も料理名も大きく異なります。今回集まった回答からも,日本各地の食文化の多様性が見えてきました!!一緒にどんな給食があるのか見ていきましょう!
ここでは金沢大学生の出身地別割合で70%を占める,北陸,東海,近畿を詳しく取り上げています。(『金沢大学概要2020』を参照)
ご当地給食マップはこちらから
北陸
北陸地方では,白エビ・ホタルイカ・カニなどの海産物が多数挙げられた一方で,「治部煮」「めった汁」といった煮込み料理も複数地域から報告されています。これは,豊かな漁場を持つ地域でありながら,冬季の気候条件により保存性や温熱性の高い料理が発達した食文化が,給食の献立にも継承されていることを示しているといえるでしょう。しかしながら,UFO揚げなどからも分かるように,町の発展とともに新しい名物を生み出す一端も担っているのが特徴です!
中部
次に中部地方では,川魚料理や保存食,粉食文化が目立っています。特に岐阜県では鮎料理が複数の市町で確認され,河川資源が地域アイデンティティとして強く認識されていることが分かります。また長野県の「キムタクご飯」のように,学校給食発祥のメニューが地域名物として定着している例も見られ,給食自体が新たな地域文化を創り出しています!これは,給食が文化を継承するだけでなく,生み出す役割を持つことを示す重要な事例ですね。
東北・北海道
東北・北海道では汁物・鍋料理が多く挙げられ,寒冷地特有の食文化が色濃く反映されていました。これらは単なる嗜好ではなく,寒冷環境下で効率的に栄養と熱量を摂取するための生活技術として発達した料理であり,給食においても地域の環境適応の知恵が継続的に再生産されていることが確認できます!他にも人気駅弁が出されているなど他の地域には見られない特徴もあります!
関東
関東では,郷土料理と都市型メニューが混在する結果となっています。人口流動性の高い地域では食文化の均質化が進むと考えられがちですが,本調査ではむしろ多様性が可視化されました。これは,都市部においても学校給食が地域文化を意識的に取り入れていることを示すものであり,給食制度が文化教育の役割を担っているといえるのではないでしょうか。また,群馬県は,ハーゲンダッツの工場があるということで,給食にハーゲンダッツが出るとは,なんとも羨ましいですね!
近畿・中国
近畿・中国では,炊き込みご飯や汁物,家庭惣菜に近い料理が多く,日常食と給食の距離が近い傾向が見られました。これは家庭料理の再現性が高い地域ほど,学校給食が「特別な料理」ではなく「生活の延長」として機能している可能性を示していると考えられます。また,阪神・淡路大震災を踏まえ震災後初めて出されたメニューと同じ給食を出すところや,レトルトの救給カレーを食べる文化もあり,防災意識の高さが他の地域に比べて高い印象が窺えます。
九州・沖縄
九州・沖縄では,鶏料理や具沢山の汁物など味や香りの強い料理が多く挙げられました。また,サツマイモカレーなどからも分かるよう九州の歴史性もみてとれます。沖縄では,本土では聞き馴染みのない料理ばかりでビックリしました!しかし,調べてみると料理自体は味噌汁や海藻スープであることが多く,琉球語・沖縄方言の奥深さを給食を通して感じる結果となりました。
以上の結果から,学校給食は単なる栄養管理制度ではなく,地域環境・歴史・産業・家庭文化を可視化する民俗資料として捉えることができます。特に今回の展示は来館者の記憶を資料化する参加型形式であったため,得られたデータは統計資料ではなく,生活史資料としての価値を持っていると考えます。これからも食文化は生活に合わせどんどん変化していき,消えてしまうレシピも多くあることでしょう。しかしながら,これから先も私達が食べてきた「おいしい」の記憶がつながれていくことを祈るばかりです。
海外
ホンジュラス共和国(中央アメリカ中部に位置する国)
トルティーヤ・豆・チーズ・米などの組み合わせは,中南米に共通する主食スタイルで,メキシコ料理やスペイン系の食文化に近い特徴があります。包み料理(エンパナーダなど)が多いのも,ラテン系食文化らしいポイントです。
台湾
焼きそば・三杯鶏・湯(スープ)などは,屋台料理や家庭料理に近く,中国料理の流れをくむ食文化が感じられます。香辛料や調味料をしっかり使う,味のはっきりした料理が多いのも特徴です。
ご参加いただきました皆さま,誠にありがとうございました。