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1-5.昭和の城内キャンパスと学生の姿

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かつて金沢城にあった金沢大学。

「世界でも珍しいお城のなかの大学」という当時のキャッチフレーズは、金沢大学生の誇りだった。小立野方面から観光客の間を縫うようにして自転車で石川門をくぐる学生たち。息を弾ませて宮守坂(現在、いもり坂と呼ばれる)を登る学生たち。大手門や黒門を通っての通学というと、いかにも「登城」という気分になったものだ。

キャンパスが周囲と孤立した環境にあったことから生息する生物の研究も盛んで、自動車通勤・通学者に対して「タヌキを轢かないでください。卒業できなくなります」という看板が立ったこともある。
 
学生運動華やかなりし時代には内灘闘争への参加などの拠点でもあった。北溟・泉学・白梅の3寮には多数の学生が住んでいた。彼らは片町の繁華街で焼き芋売りのリアカーを引き、皿洗いに精を出した。ストームなどの行事もあり、自治の精神が育まれた。
 
繁華街といえば、当時の香林坊には映画館が軒を連ねた一角があり、休講という情報を得ると学生たちは宮守坂を降りて映画を見に行った。おでん屋で飲んだくれていると隣に教員がいることもしばしば。キャンパス内に「ル・シャトー」という生協経営の喫茶店があり、教員と学生が議論をしている姿をよく見かけたものである。旧陸軍の馬小屋は文化系サークル棟としてそのまま使われ、24時間つねに誰かがいる不夜城だった。
 
昭和の終わり頃、校舎のトイレ個室などに「好きです 金沢の金沢城の金沢大学 誇りです」といったコピーが書かれ、石川門が描かれたステッカーが貼られていた。学生たちの学びの場であり、憩いの場であり、プライドでもあった「お城の大学」はあの当時、間違いなく金大生のアイデンティティの一部だった。

雪の共通1次試験

雪の共通1次試験 石川門へ向かう受験生

城内キャンパスの文サ連サークル棟

城内キャンパスの文サ連サークル棟

旧学生会館

旧学生会館

寮生による夜の焼き芋売り

寮生による夜の焼き芋売り

 


金沢大学附属図書館中央図書館「思考の森」で展示しているパネルと同じ内容です。

2025年4月 金沢大学附属図書館コレクション検討ワーキンググループ作成